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「麺屋こころ」開業ストーリー

Story03「こころの核融合。すし職人とまぜそば」

「麵屋こころ」新丸子店オーナー、坂本啓介氏

1977年12月生まれ、岐阜県出身。すし店、割烹料理店などで修業を重ねて、2006年7月に独立、2009年7月に若い頃から親しんだ街である川崎市の新丸子駅近くに移転。新丸子を食で楽しい街にしたいと「麵屋こころ」を出店

「麵屋こころ」新丸子店のオーナー、坂本啓介氏は、新丸子東口にあるすし店「泉坂」の店主である。同店の客単価は5000円あたり、坂本氏がすしを握り、奥さまが接客を担当、他にアルバイトを雇うという形で商売をしている。

 

坂本氏が飲食店での勤務を経て、独立したのは2006年7月のこと、武蔵中原であった。新丸子に移ったのは2009年7月で、現在の13.7坪23席の店を構えた。新丸子にしたのは上京した18歳から住んでいて慣れ親しんでいたからだ。「新丸子で飲食店を展開して、食で元気な楽しい街にしたい」と構想を温めていた。

 

しかしながら、2011年3月の東日本の震災があって心が折れた。借金をして店を移転オープンしたこともあり、借金を払い終えてから新しいことを考えようと心を入れ直した。

以来、9年間が過ぎて再び「新しいことに挑戦したい」という願望が芽生えてきた。

代表、石川琢磨氏の人間性をリスペクトする

坂本氏に「麵屋こころ」の加盟店になることを決めた理由を尋ねたところ、「店も会社もリーダーありきですよ」と切り出した。リーダーありきとは、「麵屋こころ」代表の石川琢磨氏のことである。

 

「麵屋こころ」代表の石川琢磨氏と出会ったのは、石川氏が坂本氏のすし店にお客として訪ねてきたことがきっかけであった。いつしか石川氏は「泉坂」の常連となり、坂本氏と意気投合して、ゴルフや食事などプライベートでも交流するようになった。石川氏は熱血漢で、心根にブレがなく、坂本氏は石川氏に「何か一緒にできたらいいね」と話すようになっていた。

 

坂本氏は石川氏がラーメン店を展開する会社の社長をしていることは知っていたが、その「麵屋こころ」に、最初にほれ込んだのは坂本氏の奥さまであった。「何か新しいことに挑戦するのなら、『麵屋こころ』ならうまくいくと思う。ラーメンはおいしくて個性がはっきりとしていて、何度もいきたくなる仕掛けがたくさんあるから」という。

 

こうして坂本夫妻は「新しい挑戦」の商売として「麵屋こころ」を営業することに心が傾いていくのだが、このようなプランを温めている時に、新丸子駅東口でビルの工事が始まった。その中に13坪25席に物件があり、ここで「麵屋こころ」をやってみようと心に決めた。金融機関から融資の手応えを得て、大家さんからも借りることができる確信を得た。

 

店長として、知人でラーメン店に勤務して実績を積んだ人物を採用。さらに社員を2人採用して、社員3人体制と奥さまが勤務についている。

 

 開業までの研修には店長を送り込んで、1カ月半の研修を受けてもらった。現在、「麵屋こころ」の本部スタッフが立ち上げの指導として週に2回来店して、坂本氏はこの本部スタッフから「麵屋こころ」のラーメンの調理を学んでいる。

すし職人のようにおいしいものをつくる技が存在する

坂本氏はすし職人の視点から「麵屋こころ」の商品づくりに対する真摯な姿勢についてこのような表現をする。

 

「高級ネタのマグロやウニは、高いものになればおいしいものになる。要は原価が高くなるものをどのようにして高く売るか、ということが職人に問われます。しかしながら、小肌や穴子などは、季節によって脂の乗り方などが異なることがあって、これをおいしくするためには職人の技術が問われてくるのです」

 

「私はラーメンとは、それほど技術が必要なものだと考えていませんでした。ましてやFC展開するというのは誰にでも簡単にできるからだと考えていました。しかし、実際はすし職人が小肌や穴子を調理するのと同じように、要所に一段上に行くための技術の世界が存在していたのです」

 

「トッピングで使用しているきざみ海苔に、最初なぜこんな高級なものを使っているのかと不思議に思いました。食べてみると、高級な海苔の風味の後に、出汁のカツオの風味が追いかけてくる。調味料のバランスがしっかりと考えられているんです」

すし職人ならでは、重さのあるコメントである。

 

石川氏は坂本氏に対して、常々「うちのまぜそばは、他の店には絶対に負けない」と語っていたという。坂本氏はそれを疑うことはなかったが、オープンするまで「麵屋こころ」の仕組みや本部スタッフの行動などを見るにつけて、「その通りだ」と確信するようになった。だからこそ、根強いファンが存在し、リピート率が高いのだと改めて認識した。

 

新丸子という立地は、学生街、オフィス街という具合に、季節や曜日で街の賑わいが変動することはない。日中、地元の人がいて、若者もいる。都心で飲んで帰って地元でラーメンを食べるというニーズもある。土日はファミリーが来店する。そこでクローズタイムを儲けることなく日中から夜遅くまで営業できる環境となっている。

 現在の同店は1日4回転で、客数は120人といった状況。コロナ禍で厳しい時季に開業したが、これからは売上がより増えていく可能性が高い。

 

 坂本氏の「新丸子を、食で元気な楽しい街にしたい」というビジョンは、「麵屋こころ」との出会いによって、より具体的なものになっていくことであろう。

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